「自己確認」をめぐって自国民のアマチュアを愚弄する総務省

 (ダメ元で)別紙の意見を提出したが予定通り原案通りとなった。が、この中で最も成果があったのは別添の13項の「自己確認」に関する提案がありこれに対しての総務省の回答が得られたことである。この「自己確認」をキーワードとして、「自己確認」制度を適用すべきとデジタル変革時代の電波政策懇談会 へ意見提出制度を適用すべきと意見を出していたが今回多くの方から同様の意見を出して頂いたことに感謝したい。

回答の結論に「対応は困難」との表現であり、これは上司に言われて書けと言われたが状況によっては困難を乗り超えざるを得ないと内心白旗をあげているとも読める。今後も揺さぶりをかければ実現されるものと確信した。

この確信は対応困難な理由として第三者が確認する基本を外すと重要無線通信※などの他の無線局に混信妨害を与える」恐れを挙げたことである。この説明で(国内的説明としては)納得を得られるものと総務省は思っているようだが、アマチュアに自己確認の特権を認めている多くの欧米諸国にも重要無線通信を有している。国際的な状況を知っている我々に押し通すには欧米諸外国の制度の非合理性を証明しなければならない。これは出来るはずがない。

昭和25年の大河内の国会での指摘のように1927年ワシントンDC会議以来100年間もの間アマチュアを「特殊な立場」としてアマチュアに免許皆伝(BLACKBELT)として特権を与えた欧米諸外国と比べて自国民のアマチュアには「アマチュア局の申請者や免許人は工事設計や無線設備の技術基準適合性を設計や製造、品質検査等を通じて確保することが困難と考えます。」となって人材育成とは対極の子供扱いの愚弄した言い回し方になってしまった。意外に思われるかもしれないが、1927年のワシントンDC会議に向けたアマチュア業務の許可方針は1926年5月3日の陸・海・逓 三省会議において逓信省は「逓信省ニ於テハ技術上取締困難ナルノミナラス 公衆通信ノ性質ヲ有スル通信ヲ之ニ依リ行フコトアリ 之等ニ対スル取締ニツキ相当研究ヲ要スルモノアルニツキ」(7.項)と述べており当時のARRLのリレー局に対する警戒が反映されているとは言え公衆通信を重要無線通信への妨害と置き換えて総務省のアマチュアへの取締は戦前から100年間一貫した姿勢である。大河内の指摘の通り「電波は元來国家というか、政府のものであつて、各人に許してやつておるのだ」の延長線での考え方である。ただし、公平に述べれば当時においても陸軍省は人材の育成の立場から「陸軍側ニ於テハ壮丁教育ノ関係上有利ナルノミナラス 科学ノ進歩の促進イル上ヨリ 使用波長ト電力トヲ制限シ且 通信ノ秘密ヲ厳守セシムル条件ニ於テ、一般ニ許可スヘシトノ意見ナリ」との意見はあるにはあったがその後歴史的には否定されてしまった。総務省のおかげでワイアレス人材の育成ができなかったのだ。反論はいくらでも用意できる状況になった。

図らずとも総務省自身が外堀を埋めてくれた。あとは我々が揺さぶりをかけ続ければ「井の中の蛙の幼稚な屁理屈はいい加減にしないか」と良識ある声が総務省内で起き内堀もまた埋められることに間違いはない。

以上

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別添②その他(電波法関係審査基準関係・以外) 

13 ○アマチュア局の申請者や免許人が自ら無線設備を確認するような 技術基準適合自己確認制度を導入できないか。 

本意見募集の対象外となりますが、次のとおり対応は困難と考 えます。 技術基準に不適合な機器が、重要無線通信※などの他の無線局に混信妨害を与えた場合には、他の無線局の運用を著しく阻害するような影響を与えることにより、混信を受ける無線局がその開設の目的を達成することができないか、またはそれが著しく困難な状態に置かれるおそれがあります。 工事設計や無線設備が技術基準に適合していることについては、第三者が確認することが基本であり、無線設備の技術基準、使用の態様等を勘案して、他の無線局の運用を著しく阻害するよう な混信その他の妨害を与えるおそれの少ないものに、その対象範囲を限って技術基準適合自己確認制度を導入しています。 アマチュア局は、比較的大きな空中線電力であること、隣接する 周波数等で船舶・航空など重要な無線局が存在すること及び無数の通信方式があること等から、仮に、技術基準に不適合な状況が無線設備に発生した場合には、他の無線局への混信等妨害の影響が 極めて大きいものと考えます。したがって、アマチュア局の無線設備について、技術基準適合自己確認制度の対象設備とすることに ついては適当ではないと考えます。 また、自己確認制度は、自己責任が基本であり、工事設計の技術 基準適合性を確認し、それに合致した無線設備を製造することが求められるため、無線設備の技術基準適合性を設計や製造、品質検 査等を通じて確保することが可能な者である必要があります。こ のため、無線設備の製造又は輸入を「業」として反復継続的に行う 輸入業者又は製造業者に、その対象を限って技術基準適合自己確認制度を導入しています。 アマチュア局は個人が開設する無線局であり、アマチュア局の申請者や免許人は工事設計や無線設備の技術基準適合性を設計や製造、品質検査等を通じて確保することが困難と考えます。したが って、アマチュア局の申請者や免許人が自己確認を行うことは、適当ではないと考えます。 

※重要無線通信:電気通信業務、放送の業務、人命若しくは財産の 保護又は治安の維持、気象業務、電気事業、鉄道事業関係の無線通信 

(2023年2月24日記)


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