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1838-1843kHzの開放に関するコメント提出に関する総務省のレスポンス

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1.はじめに 毎年行われている「電波利用状況調査」の意見が出されてこれを受けて7月20日に電波監理審議会に答申されたとの 発表 が総務省電波政策課からだされています。 今年はたまたまと言うか幸運にもと言うかUHF以下が対象となったのでこれを機会に1.8MHzと3.5MHzの開放を求めるアマチュアからの意見が92件出されてこの中で短いけれどJARLもきちんとした意見(No.56)を出す結果となったのはJARLに色々とお願いをしてきた小生としてはうれしい限りです。もちろん92件の数に関しては突如外野から雑音(?)を出してきた協議会(No.59)の力があったのは事実だろうと思います。 小生の提出した意見(No.58)の狙いは各意見は総花的になると予想して、今後「既存の業務用無線の動向等を踏まえて検討」する際に1838-1843kHzを対象から外さないようにするためのです。結果的に他の意見は小生の具体的な意見を支えるものでしたがどれも1838-1843kHzを明示したものはないので提出した意味はあったと考えています。(どうもNo.56のJARLの意見、No.57の個人意見(協議会が用意したサンプル意見?)No.58の小生の意見、No.59の協議会の意見を読めば主要意見はわかると事務局は順番を整理したのかと思うのは深読みすぎるかな?) 2.小生の意見の内容と総務省の考え方 意見の内容は以下の通りです。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- アマチュア無線業務においてもデジタル化が進行し、HF帯およびLF帯においては従来のCWから狭帯域データ通信(JT65およびFT8モード等)に移行してい る。従来のCWでは難しかった国際的な遠距離通信がデジタル化で小電力かつ狭帯域で可能となり、特にLF帯が注目され報告の「評価結果」の通り「アマチュ ア無線LFは増加傾向」にある。 しかしながら、このLF帯の内1.9MHzにおいては告示で1907.5-1912.5kHzが割り当てられているが、アマチュア無線の国際調整機関IARUでは1838- 1843kH

時分割多重方式によるFT8 Dxpedition Modeの考察

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1.はじめに FT8は一つのQSOに最短で2シーケンス=30秒かかるので一時間当たりでは最大120局の処理数である。これはJT65等に較べれば4倍に短縮されたこととして評価できるがRTTY等の処理数を凌駕するとは言い難いと思われる。このためペデション局のチャネルを最大5チャネルに周波数多重化して一時間当たりの処理能力を最大600局にあげる方式 Dxpedition Mode が実用化されようとしている。 一般的にいって、チャネル数を増大するとこれに比例して出力は増加させなければならない。例えば1チャネル時に100Wで運用した場合の合計は500Wである。合計500Wの送信電力になることは5人のオペレーターがPCでFT8を100Wの無線機でそれぞれ運用した場合を想定すると容易に理解できる。これを一つの無線機だけで構成するためには時分割多重方式と周波数多重方式があるがディジタル信号である場合は特別な理由がない場合は時分割方式が用いられる。理由は周波数多重化方式ば定振幅変調であっても各チャネルの信号キャリアの位相差でビートが生じピーク電力と平均電力に差が生じる。5チャネル時にはピーク電力は平均電力の5倍になる(Note1.および図4.の周波数分割方式の欄を参照)。これでは一チャネルでは100Wで運用していたペデション局が5多重では2、500Wピーク電力(平均電力は500Wしかなく発熱も少ない)が要求されるということで本来のWeak Signal運用は非現実的となる。以上の理由で時分割多重方式が望ましい。 本考察でより多値化し占有帯域幅を拡大することで5チャネル運用時でも増幅器の平均電力およびピーク電力ともに250W(4dB)で運用可能であることを示した。また、この構成で1チャネル運用を行えばペデション局は現行の方式より50W(-3dB)で運用可能でありアンテナ等の設置制限のある場合でもペデションが可能となることを示した。 2.Dxpedition Modeの構成とシーケンス これをを図1に示す。フレーム長15秒の半複信で、ペデション局(FOX)へのアクセスは1kHz~5kHzのランダムアクセスチャネルでありアクセスに成功したアクセス局(HOUNDS)は0Hz~1kHz内でのトラフィックチャネルに移ってのQSOとなっている。ペデション局は現状の仕様では300H

Multiband WSPR transceiver

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1.はじめに Red Pitaya Notes にはPavelが開発した独自のプログラムが収録されており最も利用されているのはSDR transceiver compatible with HPSDRだと思うが個人的には面白いのはここで紹介する Multiband WSPR transceiver である。今はHPSDRを使っていないときはこのプログラムを常時運用しており、このプログラムのおかげで始めて136kHzと474kHzバンドの運用状況が体験できた。 2.なにがWSJT-XのWSPRと違うか? WSPRの利用システムとしては通常はアマチュア無線用のリグとPC上のWSJT-XのアプリとしてWSPRを走らせる構成であるが、 ここで紹介するシステムは RedPitayaをWSPR用のSDRとしてかつRedPitayaに搭載のARMにWSPRのアプリを収容した 同時に最大8周波受信可能とした(送信は1波のみ) ことである。WSPRは常時(24時間365日)運用することで面白みが発揮される点においてRedPitayaのみ動作させればよいことは消費電力的に大きな魅力である。 3.設定方法の注意点 ソフトはLinuxのコマンドがむき出しであるため設定情報は複数の設定ファイルをエディターで編集しなければならない。またこの設定ファイルが複数に分散されているので面倒である。 decode-wspr.sh: CallsignとGRID。 write-c2-files.cfg: 受信周波数の選択。利用する周波数は頭の//を削除する。最後の周波数に「,」は不要であることに注意。IN1とIN2は選択できる。 transmit-wspr-message.cfg: 送信周波数の記入。QRGではなく送信周波数そのものであることに注意。OUT1とOUT2は選択できる。 また、注意を要するのは送信機能をアクティブにするにはwspr.cronファイルの2行目の#を削除して10分に一度Transmit-wspr.shコマンドを実行させなければならないことがNotesに記載されていないことである。 4.472kHz帯 受信用の直径1mのスモールループアンテナを接続しているのでLFとMFも受信できる。国内局のアンテナは1Weirp制限からかそんなに長くな

PuresignalのAutoattenuation機能実現のためのPeregine PE4302を使った入出力調整機能

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1.はじめに RedPitayaのINおよびOUTのレベルは固定でレベル調整機能がない。このためSDRへの応用に際して、受信機能のATT機能は外付で実現しなければならない。同様に送信機能はソフトで制御するか外付けATTとなる。RedPitayaのHPSDR用のソフトにはこの制御機能が付いているがD/A量子化雑音が増加する懸念が指摘されている。 外付けのATT機能の実現方法が複数提案されているがPeregine社から発売されている「RF Step Attenuater」はデスクリートの抵抗と機械式スイッチで従来の構成ではなく、サファイア基板上にシリコン層を形成した集積回路で実現しており50Ω入出力でDCから4GHzまで使えて+18dBm入力でIP3が52dBとなっている。制御機能もこのICに内蔵されている。このためRedPitayaのINおよびOUT用には適していると考えた。eBayでも評価基板が送料込みで$13程度で販売されているので1個購入してみた。 2.使用方法 eBayで販売されている基板はPeregine社の資料に記載されているEvaluation Kitに似ているがもう少し製品化しているようだが実際の回路図がネットで見当たらない。仕方ないのでデータシートとテスターで実際に使いながら使用法を習得した。 電源は+3.3Vではなく+5Vとなっている。レギュレータはU2のようで赤色のLEDが煌々と輝く。一番気を遣うのは8ピンのDIPスイッチの使いかたで、制御入力はポジションをONにするとHIGH=3V、OFFにするとLOW=0.2Vになる。データシートから基板上のDIPスイッチでマニュアル制御する(=direct parallel programing)には LE=HIGH( and P/S=LOW (OFF)) となっているのでRedPitayaのOUTとTS-680Sの間に入れて8番スイッチをONにして電源をいれるとC16からC0.5のスイッチが動作することを確認した。ちなみに挿入損を14MHzでPOWER計で確かめてみると100W出力が80Wになることから1dBとなりカタログの1.5dB(type)以内なので正常に動作しているようなので安心した。 ソフト制御は直並列が可能でシリアルの場合はDIPスイッチの7番スイッチ

オーディオコーデックの選択

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1.はじめに Hermes基板に内蔵されているMic及びPhoneの機能をRedPitayaでは「WM8731Audio Codec Proto」と呼ばれる外付け基板で実現している。MikroElectronica社から比較的廉価(送料込みで$28=約3,000円程度)で入手できるのでこれを試してみた。今まではこの機能をPC内蔵のマイク及びスピーカーにVACで接続していたが、これではOpenHPSDRのMasterAFとかMIC利得とかのスライダーが使えないのとデジタルの場合にVAC切り替えが必要とか音声の遅延が気になっていたので試してみたかったためである。 2.接続 RedPitayaとの接続は 下図の通り で、デジタル音声はI2S Codec( GPIO-driven frame-sync? ) でボリューム等の制御はI2Cであり電源を含めて8本の接続が必要である。I2Cのアドレスは0x1Aである。 基板回路図 WM8731    Red Pitaya SCK --- DIO4_N (E1) Pin 12 MISO --- DIO5_N (E1) Pin 14 MOSI --- DIO6_N (E1) Pin 16 ADCL --- DIO7_N (E1) Pin 18 SDA --- (E2) Pin 10 SCL --- (E2) Pin 9 3,3V --- (E1) Pin 1 oder 2 GND --- (E1) Pin 25 oder 26 RedPitayaとの接続 実態配線図 3.実物の確認 ネットで問題視されている項目を実物で確認した。 1)クリスタル周波数 ATS 122SM-1 CTS 05 1630 CTS社の12.280MHzのSMDタイプの水晶発振器。マニュアル通りで巷で問題視されている16MHzのものではない。 クリスタルの捺印はATT122SM-1 2)C23は容量の表記はないが形状からして1μFはない。マイク入力のWolfsonのICマニュアルでの推奨値は1μFでIC側が正極となっている。このバイアスはエレクトレットマイク用