DAIWA CNW-518 アンテナチューナのフィルター特性

 1.はじめに

新スプリアス規格となって短波帯送信機の高調波は従来のー40dBcからー50dBcに引き上げられた。そのために従来の送信機を使用し続けるまたは海外で製造された送信機を使用して規格を満たさない場合は外部に高域遮断フィルターを入れることが推奨されている。このため直列にコイルを並列にコンデンサが入った構成で高調波に減衰効果があるLCL_T型アンテナチューナに注目が集まっている。このため購入したベクトルネットワークアナライザーNANOVNAの使い方を学習する目的で手持ちのDAIWA CNW-518のフィルタ特性を計ってみた。

その後TINY SAおよびアンリツスペアナを使い最も特性の悪い7MHz帯でスプリアスを実測したがNANO VNAの測定値と良く一致するとともに極めて良好なスプリアス特性となり旧規格のリニアアンプでも利用を続けられることが確認できた。(2022年12月21日追記)


DAIWA CNW-518 回路図

2.フィルタ特性例

CNW-518のマニュアル(4ページ)に7MHz帯にチューニングした時の実測特性が載っている。通過帯域の7MHzで損失は0dBであるがDCで25dB、2倍の高調波周波数14MHzで20dB、3倍の高調波21MHzで26dB程度の減衰量がある。このように高調波に対しては約20dB程度の減衰が期待でき要求さえる10dB以上の低域通過フィルタ特性を十分満たすことがわかる。

3.NANOVNAでの実測

同様に7MHz帯にチューニングして実測した。Startは1MHz、Dtopは50MHzである。7MHzの損失は0.6dB,14MHzで19.4dB、21MHzで29.0dBであった。これはマニュアルの実測とよく一致しているとともに余裕をもって要求特性を満たしている。DCから50MHzまでのフィルター特性もよく似ている。2倍の高調波の減衰特性を他のバンドで測定してみた結果は3.5MHz帯で23dB、14MHz帯で22dB、28MHz帯で34dBであった。以上から7MHz帯が最も特性が悪かった。

Ameritron AL-80B リニアアンプ (3-500Zのシングル 500W)で実際のスプリアス量をハンディースペアナTINY SAで実測した結果が以下の図である。シングル構成で2倍の高調波が多い。

CNW-518 入力(-52.9dBC)

CNW-518 出力(ー68dBC以下=測定限界)

AL-80B単体でも新スプリアス規定ー50dBCをギリギリクリアするがCNW-518の出力では測定限界以下となっている。(2021年11月06日追記)

同様にアンリツの電波検査用ポータブルスペアナとMFJのHF~UHF帯1.5kWダミーとスプリアス測定用方結器で測定するとAL-80B単体でー53.84dBC CNW-518を入れるとー69.8dBC(測定限界は80dBC以上)であり新スプリアス規定は余裕をもってクリアできることがわかった。(2022年12月21日追記)

4.まとめ

アンテナチューナ―を新スプリアス規格対策として利用することは十分実用性があることが分かった。

(2020年8月8日)


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