投稿

2025の投稿を表示しています

FreeDV V2の魅力

  1.はじめに 以下小生の体験をもとにFreeDVの魅力を書いてみました。ただし不満もありますがこれは書いていませんのでご注意を。 2.FreeDVの魅力 FreeDVの魅力は 従来のSSB音声通信と較べて ・所要無線帯域幅はSSBと同じく3kHz以内で同等以上の最小感度の実現   ・RADEによりPARPが1に近くなりスピーチプロセッサー不要 ・音声符号化に電波伝搬路のフェージングによる劣化がなくAGC不要 ・音声符号化で電波伝搬路からの雑音が抑圧されてNR,NB機能不要でアナログFM以上の雑音品質 ・同期再生機能で同調操作がいらず一般利用者に不評なSSBのモガモガ音なし ・スマホの4kHz音声帯域を上回る8kHzで冬季には相手局のリアルすぎる咳きこみ音が楽しめる ・定量的な受信電波伝搬路の、S/N、フェージング周期変動をリアルタイムで可視化 ・FreeDV Reporterで交信相手局のみならず周辺のFreeDV受信局情報をリアルタイムで可視化 また、過去約30年間アマチュア無線界において商用特許権で保護された音声符号器の採用で自由な進歩が阻まれてしまったが、GNU License条件でソースコードが開示されており誰でも自由に改善できることは音声符号化技術に興味のあるアマチュアにとっての魅力です。 今回FreeDVを実体験することで、1923年にもっとも周波数占有帯域が狭くもっとも電力効率の良いとされるSSBの登場でその後開発が停滞したHF帯音声無線技術がやっと100年後にAI技術の進歩次第ではSSBを凌駕する通信方式をアマチュア無線界から提示できる可能性を一般のアマチュアも感じてもらえると思っています。 3.参考文献 鈴木誠史、吉谷清澄; 通信方式としてのSSBの変遷; 通信総合研究季報、 Vol 34 No.171、 June 1988 David Rowe, Jean-Marc Valin; RADE: A Neural Codec for Transmitting Speech over HF Radio Channels;  2025年6月10日 記

FreeDVの新モードRADEの10MHz帯占有帯域幅を2kHz以下に制限するイコライザーは必要か?

 FreeDVの新モードRADEは2つの深層機械学習を採用して従来のモードに比べて良好な音質で好評であるが、現状利用可能な暫定版は内蔵送信フィルターを省略してできるだけPAPR(ピーク対平均電力比)を小さくしているということで占有帯域幅は本体無線機のフィルター規格値3kHzになってしまう。このことは無線設備規則上問題ないが、JARLバンドプランが10MHz帯だけは2kHz以下となっている現状からこれに対処するために付属装置に付加的な送信フィルターを追加する検討が進められておりこの成果はJH1PCFさんの本サイトの記載とCQ ham radio QEX No.54の「FreeDV最新ガイド」のなかで詳しく紹介されている。 しかしながらIARUのバンドプランのデジタル音声モードの占有帯域幅は全バンドでアナログSSBと同じく3kHzである。10MHz帯に限ってはSSBの運用自体が一般的に認められていない中でアマチュア人口の比較的少ないことを理由に豪州とニュージーランドなどの南半球では3kHz幅のSSBの運用を認めている。以上からJARLのバンドプランの中途半端な2kHz規定に技術的妥当性と国際的な認知度と将来性はあるのかそしてこれは新たな「ガラパゴス規定」の典型ではないかと以前から危惧していた。 今回RADEの問題を契機にしてJARLのバンドプランの2kHz規定そのものに我々が見過ごしていた制度上の問題があることがわかり別途「 改正されたJARLバンドプランの10MHz帯の占有帯域幅2kHz以下は無線設備規則違反で非合法 」としてまとめることができた。 たしかにRADEだけを考えると局所的な問題として技術的に回避して片付けられなくもないが、RADEとは異なる新たなデジタル音声技術の今後に大きな制限を与える懸念から本質的な解決を総務省とJARLに指摘しなければ将来にツケを回すと思っている。10MHzを14MHzのサブバンド的に日頃から利用されている諸兄の大所高所からのご意見を伺いたいと思い小生の考えをここに記載した。 以上 (2025年3月3日記)

改正されたJARLバンドプランの10MHz帯の専有帯域幅2kHz以下は無線設備規則違反で非合法

お断り: このブログはFreeDVのRADEモードで久しぶりにQSOさせて頂いた方と「10MHz帯でJARLバンドプランの2KHzに合わせる」技術的テーマのメールのやり取りで、「技適の占有周波数帯域は3kHzである」ということを教えて頂いたことから始まった。電波法の条文を読むのは久しぶりでありもの論理構成力の低下ともの忘れの激しい頭脳で体力的にも厳しく、10MHz帯の占有周波数帯域をどのように決めたかを巡ってJARL内部での議論と総務省担当のやり取りもまったく知らず調べた事実だけに基づいて推定する作業は4ヶ月を要した。よって、このブログに書かれた推定の部分は小生の推理であり事実確認したものではないことを明記しておく。 1.はじめに 令和5年9月25日施行の JARLバンドプラン で、10MHz帯の10.130-10.150MHz帯の使用区別は占有周波数帯幅が3kHzの電波の型式は狭帯域のデータであったのが10kHz拡大されて10.120-10.150MHz帯で全ての電波型式(SSBとAMを除く)と拡大されたが占有周波数帯幅が2kHzに縮小された。 狭帯域のデータ以外の運用も可能になって一年経過し、利用者が少数の1,2級ハムのみの周波数帯域のため混雑もなくデジタル化を促進するこの拡大自体は喜ばしいが、なぜか占有周波数帯幅が従来の3kHzから2kHzに狭くなっている。 2.関連する電波法関連規定の調査 2.1  総務省告示第八十号 :2kHz以下 JARLのバンドプランに法的拘束力を与えるために総務省告示第八十号が制定されており、JARLバンドプランと同様に10.120-10.150MHz帯はすべての電波の型式で利用可能であるが占有周波数帯域は2kHzとなっている。 これで例えば最近話題のデータ通信VarACで3kHzの運用は改正前は自由だったが改正後はバンドプラン違反で運用できなくなった。FT8もSuperFOXで帯域幅1.5kHzまで拡張されて2kHz超えは目前で将来が心配である。また、解放されたデジタル音声は他のバンドでは占有周波数帯幅は3kHzであるが10MHz帯は2kHzで運用しなければならないことになる。 新たに運用が可能になったデジタル音声も2kHzで運用しなければならない。例えばFreeDVは現在の7つあるサブモードで最新に属する2020BとRADEがフ...

JAの周波数割当を考慮したFreeDVのCalling Frequencyの変更

  現状80mと160mのCalling FrequencyのListはJAにとってすべてがオフバンドであることを問題に取り上げてやり取りしていました。GUI担当のMoonerと80mは3.580MHzに追加でどうかというところまでは行きましたが、Moonerが多人数でとdigitalvoiceに話題を上げたところ雲ゆきがあやしくなりR2,R3を考慮して3.6120MHに移りその後USの下位クラスを考慮して3.8030MHzになってしまいました。ここはJAにとっては上の端3.805MHzのわずか2kHz下の辺境です。160mは最初は現状の1.997MHzを1.9120MHzでどうかと言われてたところ結局1.8700MHzで決着してくれました。 ということで結果は以下に書かれておりすでにCalling FrequencyにJAのためにとの理由で2つの周波数が変更されました。 https://github.com/drowe67/freedv-gui/pull/831 結論として、160mはJAのみならずグローバルなCOAを確立に貢献できたことには満足しています。よってFreeDVは1.850 ~ 1.900MHzがメインになるでしょう。80mは3.600MHzの近辺を狙っていたのですが実現しませんでした。理由はこの付近の開放はわずか12kHzで身動きが取れなかったためです。そのため3.612 ~ 3.662MHzと3.687 ~ 3.702MHzの開放をJARL・総務省に要望していくのが筋だと思っています。そうすれば現状の3.6250MHz, 3.6430MHz, 3.6930MHz, 3.6970MHzのすべてのCOAが利用可能になります。蛇足かもしれませんがFreeDVではWSJT-XのようにCOAを決めてここでの活動に注力するメディアではないと思っています。それよりも従来のPHONEの帯域をある程度棲み分けてデジタル用に確保するのがよいと思っています。例えば160mは1.85 ~1.90MHz, 80mは3.6MHz帯全部が今回見えてきました。 最後にオフバンドに関することですがCalling Frequencyで80mのほとんどと60mの3つすべてが該当します。ミスオペ防止のため削除要求しましたが、それはアマチュア無線...