Thetis完全対応:sdr-transceiver-hpsdr-ananxd(3月1日改定)

1.はじめに

          ---------3月16日付けでDH1KLMから今回の改良がCQ-NRW.deに紹介されている---------

RedPitayaのSDRソフト「Alpine with pre-built applications」に収録されている「SDR transceiver compatible with HPSDR」にはAngelia対応sdr-transceiver-hpsdr-ananxdが収録される予定である。このアップデート作業に協力したので公開予定の標準プログラムを事前に入手できた。この標準プログラムに対して独自のS-ATT, Audio Codec、 CAT機能を加えたプログラムを小生のGitHubにアップロードして先行公開してある。既に小生の機能追加プログラムを利用されている方はダウンロードして使ってもらいたい。

2.使用方法

利用するためには

1.Githubから以下のファイルをダウンロードする。

      • sdr-transceiver-hpsdr-ananxd
      • sdr-transceiver-hpsdr-hpsdr.c
      • sdr-transceiver-hpsdr_hpsdr.bit
      • start.sh
      • stop.sh

2. ダウンロードしたファイルをSDカード内のapps/sdr_transceiver_hpsdrに上書きコピーする。

3. ThetisのRadio Setup->H/W SelectのRadio ModelをANAN-100Dに変更する。

4. 以下に示すstart.shの最後の行の添字の法則は 以下の通り。

 $apps_dir/sdr_transceiver_hpsdr/sdr-transceiver-hpsdr-ananxd 1 2 2 2 1 2 1 2 &

添字:        1          2           3          4       |    5         6      |    7        |       8

選択:  RX1        DIV       RX2       PS    |    T X ENV    |  CAT      |   CODEC

1/2:                     1:IN1                          |   1:OUT1    |1:4,800  | 1:12.888

                             2:IN2                        |     2:OUT2    |2:38,400|2:12.000

RedPitayaは2のINがあるのでこれを利用することを前提にするとDIVとRX2の数字はRX1の反対となる。PSはPSのフィードバック入力を意味してこれはHermesの構成であれば通常IN2に入力するがANAN-100Dの場合はIN1に入力するのが通常である。しかしこの添字を変えることで柔軟に対応可能になる。もしRedPitayaで2つのINを使わない場合はRX1で指定した数字とすべて同じになる。この場合Diversityは効かないがRX2は使えるはずである(まだ試していない)。

3.アップデートの詳細

ThetisはProtocol1をサポートするようになり理論的にRedPitayaも接続可能となった。実際に使ってみるとDiversityとかPuresignalとかRX2が受信できないとかの多くの不都合が見つかった。

mRXPSが開発終了となっている状況下でThetisがその後継者とみなされている状況下でPavelに不具合解決を促すなかで、Thetisに合わせて各DDCの割当てを変更のみならずすべての不都合を解消するため従来のDDC数を4個から5個に拡大してANAN-100D(=ANGELIA)並みにアップグレード対策を取ることになった。これでmrxPSではDiversity利用時にRX2受信ができない機能制限もなくなった。なお従来のOpenHPSDR mRXPSでも利用できるため、まだまだThetisはmRXPSほど安定していないので並行利用するため今回の互換性を持たせたアップデートは重要である。

Hermesの4個のDDCの割当て

    • DDC0 and DDC1: for diversity, RX1 and RX2
    • DDC3 and DDC4: for Pure Signal 注)

Angeliaの5個のDDCの割当て

    • DDC0 and DDC1: for diversity
    • DDC3 and DDC4: for Pure Signal 注)
    • DDC2: for RX2(今回追加)
である。

注)DDC4はProtocol1 Spec.でPS-TXと規定されていることからDDC3がPS-RXとなる。

2項の4の最初の4つは入力IN1(ADC1)とIN2(ADC2)のマッピングに関するものでThetisプログラムのSetup-->General-> ADCにもあってここで定義すればよいはずだが、現在のRedPitayaはプログラムから送られてくるこの情報を無視しておりRedPitaya側で上記の添字で変更する仕様になっている。この添字情報に従ってFPGAの5つのDDCが上記で述べられているように割り当てられる。Puresignalの送信側に接続されるPS-TXのDDCは固定であるので添字の対象になっていないことに注意してほしい。

4.まとめ

今回のアップデートでRedPitayaはHermesからAngeliaにグレードアップされた。これでThetisと組み合わせて自作SDRとしてトップクラスの性能を維持できる。

他のSDRの違いをまとめると、Hermes LiteよりもADCの数が1つから2つとあるためDiversity機能とStereo Diversity機能が利用できるとともにADCの分解能が12bitから14ビットであるためより高品位な自作無線機が最新のThetisでも楽しめる。ANAN-100Dとの違いはADCの分解能がANAN-100Dの16ビットから2ビット少ないことのみとなった。なお、16ビットが必須の場合は少し高価であるが同寸法の16ビット版のRedPitayaが用意されているのでこれを用いればANAN-100Dと同一の性能の自作無線機が出来上がる。

本GitHUBに収録されているファイルはPavelが配布予定の標準プログラムに独自のS-ATT, Audio Codec、 CATの制御機能を新たに加えものである。

(3月1日改定)

補足:多くの読者は本ブログを読んで実際ダウンロードして使ってみて「結果オーライ」なので満足だと思うが、このブログを書いている側は正直どのように書けば論理が合うのか考え込んでしまう。なぜならmRXPSとThetisという2つのプログラムのHermes設定では論理を合せないで作ってしまったのを知って悪銭苦闘した結果Angeliaならなんとか論理が合いそうだと分かったという背景がある。(mRXPSはHeremesでも2つのADC構成を認めて作りThetisは認めないでANAN-100Dなら認めるがDDCの構成が全く異なる構成で作ってしまっている。)本来なら2つのプログラムで論理を合わせるのが論理だが合わせる様子がないので仕方なくRedPitaya側で合わせてしまったのである。この背景を長々書いても読者が理解するには小生以上に悪銭苦闘するのは目に見えているのでこの部分は省略した。その結果、読者の中で必然性が理解できないと思われる方は正常な頭脳の持ち主である。



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