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時分割多重方式によるFT8 Dxpedition Modeの考察

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1.はじめに FT8は一つのQSOに最短で2シーケンス=30秒かかるので一時間当たりでは最大120局の処理数である。これはJT65等に較べれば4倍に短縮されたこととして評価できるがRTTY等の処理数を凌駕するとは言い難いと思われる。このためペデション局のチャネルを最大5チャネルに周波数多重化して一時間当たりの処理能力を最大600局にあげる方式 Dxpedition Mode が実用化されようとしている。 一般的にいって、チャネル数を増大するとこれに比例して出力は増加させなければならない。例えば1チャネル時に100Wで運用した場合の合計は500Wである。合計500Wの送信電力になることは5人のオペレーターがPCでFT8を100Wの無線機でそれぞれ運用した場合を想定すると容易に理解できる。これを一つの無線機だけで構成するためには時分割多重方式と周波数多重方式があるがディジタル信号である場合は特別な理由がない場合は時分割方式が用いられる。理由は周波数多重化方式ば定振幅変調であっても各チャネルの信号キャリアの位相差でビートが生じピーク電力と平均電力に差が生じる。5チャネル時にはピーク電力は平均電力の5倍になる(Note1.および図4.の周波数分割方式の欄を参照)。これでは一チャネルでは100Wで運用していたペデション局が5多重では2、500Wピーク電力(平均電力は500Wしかなく発熱も少ない)が要求されるということで本来のWeak Signal運用は非現実的となる。以上の理由で時分割多重方式が望ましい。 本考察でより多値化し占有帯域幅を拡大することで5チャネル運用時でも増幅器の平均電力およびピーク電力ともに250W(4dB)で運用可能であることを示した。また、この構成で1チャネル運用を行えばペデション局は現行の方式より50W(-3dB)で運用可能でありアンテナ等の設置制限のある場合でもペデションが可能となることを示した。 2.Dxpedition Modeの構成とシーケンス これをを図1に示す。フレーム長15秒の半複信で、ペデション局(FOX)へのアクセスは1kHz~5kHzのランダムアクセスチャネルでありアクセスに成功したアクセス局(HOUNDS)は0Hz~1kHz内でのトラフィックチャネルに移ってのQSOとなっている。ペデション局は現状の仕様では300H