ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線の活用等に係る制度改正案への提案意見書と回答へのコメント


別紙

(2) アマチュア局に係る電波の型式、周波数及び空中線電力の一括表示記号の導入

改正目的から周波数帯毎の占有帯域幅規定とし電波型式を用いない表現に改めるべき。例えばA1Aは「キャリアの断続によるモールス符号」とする。どうしても電波の形式を残したいなら現状OFDM変調(FreeDVを含む)のG7DとともにGWを追加すとともに今後新たな変調方式が利用されるごとに「その他の電波型式」に分類されないように工夫すべき。

(4) 送信機の外部入力端子に接続する「アマチュア局特定附属装置」に係る簡素合理化

1.別添6の3項および4項の適用の条件で「無線設備の電気的特性に変更。。限る」の追加は一部変更による軽微な届出制度をなくすため反対。

1)本来付属装置は電波法施行規則別表第二号二(7)アに「模写電送装置、印刷電信装置印刷電信装置」で規定されるものである。そのため別添5の「付属装置に係る工事設計」を削除訂正は正しい。しかし「いずれも占有周波数帯幅が増大することとなるもの。。検査を要しない旨を申請者に対して通知したものに限る。」とすでに規定されており別添6に新たな項目を追加する必要はない。

2)追加すれば、本年当局が行った無線設備本体の変更届の際「アマチュア無線担当」の電波法解釈誤りによる通知照会(注1)が今後も起き一部変更による軽微な届出制度がなくなる。

2.別添6の4項に別添5の4項(20W以上)の適用の条件(1)(2)を削除し20W以下と同様とする簡易化に賛成。

3.1項の適用条件の最後に追加された「に限る。」は使わないのがフォーマット上正しい。

4.「水晶片に係る。。場合」の追加趣旨不明。「削る」は「削除」のこと?それとも水晶片を物理的に削ること? 新たな制限付加なら2.項に記述により反対。

5.「シンセサイザー送信装置の周波数合成回路に。。に限る。」の追加趣旨不明。CB無線の電波法規定4条第2号規定をアマチュアの規定に入れのか? 新たな制限付加なら反対。

 注1:問い合わせ番号:S20220110-00001429に関するメールでのやり取り

1)アマチュア無線担当からの「通知書照会」

アマチュア無線局の変更申請についてお伺いしたいことがあります。今回の第一送信機(TS-680S)の変調部の部品の取替えですが、交換する部品は交換前と同等品でしょうか。また、部品の交換により、送信機の性能を低下させたり、発振の回路方式または変調の回路方式に変更をきたすものではないという理解でよろしいでしょうか。

2)当局の返事

頂いた質問の内容はアマチュア局の無線設備の部品に関わる工事設計の適用の条件に基づいた「お伺い」ではありませんので答えを控えさせて頂きます。なお、アマチュア局に関しては別表第一号の三の第2の2の項の規定「その他総務大臣が別に告示する工事設計」により適用の条件が規定されておりこれには別表第一号の三の第2の1の項の規定の適用条件の1および2項は含んでいないことに特にご留意ください。

3)アマチュア無線担当からの返事

同意する

(5) アマチュア無線の初心者やライトユ ーザーにとって見やすく・分かりやすい 免許申請書等の特例様式の導入

紙ベースの「無線局変更申請書および届出書」にある変更の目的・電波法の根拠条文・変更か届出の区分が申請者によって選択させる様式がライトに反映されていないので改正で含めることをお願いする。この選択により申請で何をしたいかと電波法の関係を理解する上でもっとも重要でワイアレス人材の育成に役立つものとして継承されてきたものと理解している。以前からライトでは変更と届出を申請者がチェックで区分できずライトで申請すると全て申請として一旦処理され、問い合わせーー>届出との説明――>受理 と変更申請と変わらない手続きと期間を総務省とアマチュア両者に負担させる実務的な問題がある。WIN-WINの負担軽減として受け止めて頂きたい。

その他

「無線設備の把握を行わず無線設備の検査等を不要とすべきとの意見について、本アドバイザリーボードは、国民の生命や生活に多大な影響が生じる可能性など以下の懸念があり、産業界など他の電波利用者や国民からの理解が得られていないと考える」と検査機関としての回答である。意見は無線業務の特性に合せれば検査は「電波の質」の確保に有効な手段ではないことにある。世界的にアマチュアは技術力を有する者に限定することで「他の無線業務と異なり自作および使用無線機の変更に関して政府の認証(=検査等)を受けることはない」(注1)基本理念が今日まである。これに関し大河内は戦前の考え「電波は元來国家というか、政府のものであつて、各人に許してやつておるのだというふうな考えからつくれて」が残り「特殊な立場」を認めさせるには「われわれの力ですぐに改めることは非常に困難な状況」(注2)と解決に至らなかった。一方で、近年総務省は3.5・1.8MHz帯の全面開放、多数の付属装置変更申請の処理遅延、新スプリアス規定の適用の再々延期、知床の観光船不法運用(皮肉なことに高出力故にアマチュア無線機のみが国民の生命を守る通信に利用できた)など重要な施策が山積し今後増々サービス低下が懸念される現実がある。このため、アマチュアの特性を考慮し開発・設計・保守の技術能力(操作能力ではない)を有するアマチュア人材(上級資格)に伝授される検査省略の免許皆伝(BLACKBELT)制度を創設し検査負担を軽減するWIN-WINの政策に転換して頂きたい。

電波法はバイブルである。しかし数々の改訂を経て増々理解不能となっている。これは大河内の「一般の無線局にすべて通用するように書いてありますが、個々の無線局を考えたときに、必ずしも当てはまらないようなことが規定されておるところに、一番大きな不満を持つのでございます。」(注2)新谷の「いわゆる放送の認可、免許ということも同じように扱っているのですね。たとえばアマチュアの無線局の認可とか、あるいは船舶無線局の免許とか、そういったものはすべて同じ」(注3)に起因するものである。学習意欲をそぐ世界で最悪の条文と忌み嫌われており改正着手を望む。

大河内が指摘し70年を経た今日、幸い無線業務の特性をパラメータとする研究に造詣の深いアカデミックを座長に得て我々に積み残された課題の解決への所感を述べて頂ければ幸いである。

注1:Wikipedia Amateur radio1.Privileges

https://en.wikipedia.org/wiki/Amateur_radio                                          

注2:7回国会衆議院電気通信委員会公聴会第3号 昭和25210日 大河内正陽 発言番号 046

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=100704848X00319500210&current=30

注3:第31回国会 参議院 逓信委員会 第6号 昭和34217日 新谷寅三郎 発言番号005

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=103114816X00619590217&current=1


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