RADEの実際のPARPは<1dBではなく4.5dBぐらいに訂正された。この値であれば何も複雑なNeural Networkでなくてもよいのではとの疑問が出る
1.はじめに
David Roweの7月のブログを読むとしらっとPARPの値が4.5dBぐらいに訂正されていた。これは彼が思っていた0.8dBの値にはSSB送信機には300Hzから2700Hzぐらいの帯域制限フィルターが入っているためからだとの説明である。その後の記述は今後の対応について書かれているので省略するがRADE2の開発の中で0.8dBが得られるよう検討するとのことである。ご興味のある方はブログを詳しくお読みいただきたい。
以上から、小生のV2.00のプログラムの実測値の4.7dB~6.1dBに使用実感を含めて近くなってきているし理由は推測できるようになった。小生の推測はV2.00の帯域は8kHzではなく4kHz帯域とすでに制限がかかっているので彼が考えているより大きな劣化が実際出てきているのだと想像している。
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PAPR Issue
With our RADE development work, we have put quite a bit of effort into minimizing the peak to average power ratio (PAPR) of the transmit waveform, to help make the most of the power amplifiers found in SSB radios.
While bringing up the RADE V2 “smoke test” code I noticed the PAPR was being degraded when the signal passed through a band pass filter. This sort of filtering is fairly common, for example every SSB radio will have a 300 to 2700 Hz (roughly) filter in the voice path. I checked RADE V1 and sure enough the same thing was happening – the full 8 kHz wide signal has a PAPR of about 0.8 dB, but once it is band pass filtered it’s more like 4.5 dB. This is a pretty significant issue, even a 3 dB increase in PAPR means our average transmit power is halved. Or, perhaps this can be seen as an opportunity. We are already doing pretty well with RADE V1, so if we can modify the waveform so it maintains a low PAPR even when it passes through a band pass filter, we may be able to obtain an extra few dB of performance.
Minimising PAPR is a complex issue, as when we compress the signal (e.g. by clipping the peaks), we tend to generate inter-modulation noise at frequencies inside the waveform (in band) and at adjacent frequencies either side of it (out of band). The in-band noise can reduce performance and the out of band create interference for other users on adjacent channels. So I’m looking into various techniques to reduce PAPR when passed through a band pass filter, and at the same time control the inter-modulation noise and bandwidth of the signal.
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2.PARPの低減はNeural Networkでなくてもよいのではとの疑問
現役時代の最後の2005年ごろITUを中心に4Gの標準化にかかわっていて、携帯のLTEの標準化の中でほとんどの携帯端末メーカーは携帯のバッテリーが長持ちさせるため携帯側の変調技術はOFDMAではなくPAPRを低減できる新規のSC-FDMA技術の採用するが決まりかけていた。しかしながら同じ4GでもWiMAXの側はラップトップが主体であり十分大きなバッテリーがあるので積極的なPAPR低減を目指す新規技術の採用せず、すでに実績のある無線LAN802.11.a規格と同じOFDMAとした。そのためLTEの標準化ではSC-FDMAの技術開発に多くのリソースを割いていたのを覚えている。
このことからDavidのブログを読んで自由時間があるので20年ぶりにSC-OFDMAに関する文献を調べてみた。
ある調査では「2024年の全世界4G端末出荷台数は、前年比で約3%増加し、11億7100万台に達すると予測」していることから、これからもしSC-FDMAをFreeDVに実装しようとしてPAPRが想定している値と乖離がでればその原因は100%実装しようとした側にあると判断するには十分なSC-OFDMAに関する文献がある。
ここではその中で歴史的にもっとも参照されている文献としてIEEE VEHICULAR TECHNOLOGY MAZAZINEの「Single Carrier FDMA for Uplink Wireless Transmission」を挙げておく。これは2006年9月号でありこの中で記述されている技術は遅くとも来年の9月には知的所有権はなくなりFreeDVで使っているOFDMAとかLPCとかと同列となることに注意してほしい。
結論として、この文献でSC-FDMAは
1)従来のOFDMAに対して送信側の最初にDFTブロックを追加して受信機側の最後にIDFTブロックを追加しただけの2025年時点では簡単な方式であること。(Figure2)
2)RADEと同じQPSKでサブキャリア数がRADEV1の2倍の64でもPAPRは8dB以下に抑えられる。(Figure5の左(a)のLFDMAの青色の実線および点線)
ことである。
これはサブキャリア数は半分の30になればDavidのブログの「4.5dBぐらいに」なるだろうと思える値で現状のRADEの代替え技術の資格はあるものと思う。
3.まとめ
元来PAPRはこれ以下でなければならないという数値ではなく実際のシステムでの要求条件で異なるものである。いくら複雑になっても「0」でなければならないということではない。別のブログで書いたように我々の前提は市販のHFSSB送信機である。PAPRが「0」では定格電力で1分もしゃべれば煙がでることはだれもわかっていることである。確かに文献上でSSBよりも感度を上げたいとしてPAPRを上げたい気持ちはわかるが、一ユーザとしてRADEV1を数か月使っている身からすればもうすでにSSBは比較対象ではなくRADEV2の開発過程でV1と比較してどこまで使いがってを含めて総合評価で向上するかであると考えている。
最後に、このブログの趣旨はFreeDVの開発チームにRADEの開発をやめろと言っているつもりは全くない。すでに以下の文献のようにAuto-EncoderはBeyond5GのPAPR低減のキー技術をして認知されておりこれにアマチュア無線の分野から挑戦できれば結構なことであると考えている。その間ユーザーとしてV1でQSOを楽しめばよいしあまりに重いのでもっと軽量でやりたいと思った方は自分で4Gの範囲内としたSC-FDMA等で実験すればよいのだと思っている。
"A Survey of PAPR Techniques Based on Machine Learning"の4.1.2 Deep Neural Network (DNN)
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