実際のFreeDV RADEのPAPRはどの程度?
1.はじめに
実際はいくらかJE3PRMさんが実測しているブログがあり、これに触発されてFreeDV(V2.0.0)のTransmitのマイク入力にあらかじめ録音しておいた小生の15秒ほどの試験メッセージを流しTransmitの送信機入力をVoicemeeterのカセットテープ画面で録音したWAVファイルをAudacityで実測した。
2.AudcityのインストールとPeak and RMSのプラグインのインストール
まずWindowsのAudacityで適宜インストールしてそのプラグインをインストールした。今回のプラグインはピークと平均は同時に測れる便利さで「Peak and RMS plugin」を使ってみた。ダウンロードはこのページの「Download You may download Peak and_RMS.ny by clicking here」で行うこと。
3.測定結果
約125mS(9.65秒から9.77秒)の1フレーム部分を選択すれば
Peak -5.274dB
RMS -10.002dB
で差は4.728dBであった。
![]() |
1フレーム(125mS)のPAPR |
10秒(5秒から15秒)を選択すれば
Peak -3.761dB
RMS -9.858dB
差は6.097dBと大きな値になる。
![]() |
約10秒のPAPR |
4.SSBトランシーバーでのPAPR許容量との兼ね合い
100W SSBトランシーバで考えると
ピーク電力=100W(電波法の制限)
平均電力=25W(100Wから-6dB)くらい(非効率なリニアアンプに起因する発熱からの制限)
が妥当だと考えている。
これは本来のPAPR=「PeakとRMSの差」で6dBである。すなわち、今回の実測したPAPR約6dBはちょうどよい。逆にこれ以上PAPR劣化を少なくしてRADEの仕様のように1dB以下(本来のPAPR=4dB以下)に追い込んでも平均電力が50W近くになってしまい発熱でファイナルを破壊する危険性がある(実際に壊したとの話も聞いている)。もちろん平均電力が0Wに近くても長時間50Wであっても100Wのピーク値が出せる直線性がありかつ発熱に強いSSB機をお持ちの方なら問題ないが少数だと思う。
5.まとめ
商用のリニア無線機の発熱保護を前提にすれば実測のPAPR6dBは適切と思う。なぜRADEの要求仕様を1dB以下とした根拠は開発者でないのでよくわからない。
6.追記
同様な方法で700Dと1600に関してPAPRを測定してみた。測定方法は上記のRADEと同じである。
700D:(クリッピングなし)
Peak -5.955dB
RMS -16.344dB
で差は10.389dB (仕様では12dB)
1600:
Peak -4.932dB
RMS -18.972dB
で差は14.972dB
であった。
これによりRADEは700Dに比べて4dB~5dBは改善されていることが確認できた。なぜ700Dでの運用では送信機の発熱は気にしなかったがRADEでは気にしなければならない理由がわかった気がする。
以上
コメント
コメントを投稿