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FreeDVの新モードRADEの10MHz帯占有帯域幅を2kHz以下に制限するイコライザーは必要か?

 FreeDVの新モードRADEは2つの深層機械学習を採用して従来のモードに比べて良好な音質で好評であるが、現状利用可能な暫定版は内蔵送信フィルターを省略してできるだけPAPR(ピーク対平均電力比)を小さくしているということで占有帯域幅は本体無線機のフィルター規格値3kHzになってしまう。このことは無線設備規則上問題ないが、JARLバンドプランが10MHz帯だけは2kHz以下となっている現状からこれに対処するために付属装置に付加的な送信フィルターを追加する検討が進められておりこの成果はJH1PCFさんの本サイトの記載とCQ ham radio QEX No.54の「FreeDV最新ガイド」のなかで詳しく紹介されている。 しかしながらIARUのバンドプランのデジタル音声モードの占有帯域幅は全バンドでアナログSSBと同じく3kHzである。10MHz帯に限ってはSSBの運用自体が一般的に認められていない中でアマチュア人口の比較的少ないことを理由に豪州とニュージーランドなどの南半球では3kHz幅のSSBの運用を認めている。以上からJARLのバンドプランの中途半端な2kHz規定に技術的妥当性と国際的な認知度と将来性はあるのかそしてこれは新たな「ガラパゴス規定」の典型ではないかと以前から危惧していた。 今回RADEの問題を契機にしてJARLのバンドプランの2kHz規定そのものに我々が見過ごしていた制度上の問題があることがわかり別途「 改正されたJARLバンドプランの10MHz帯の占有帯域幅2kHz以下は無線設備規則違反で非合法 」としてまとめることができた。 たしかにRADEだけを考えると局所的な問題として技術的に回避して片付けられなくもないが、RADEとは異なる新たなデジタル音声技術の今後に大きな制限を与える懸念から本質的な解決を総務省とJARLに指摘しなければ将来にツケを回すと思っている。10MHzを14MHzのサブバンド的に日頃から利用されている諸兄の大所高所からのご意見を伺いたいと思い小生の考えをここに記載した。 以上 (2025年3月3日記)

改正されたJARLバンドプランの10MHz帯の専有帯域幅2kHz以下は無線設備規則違反で非合法

お断り: このブログはFreeDVのRADEモードで久しぶりにQSOさせて頂いた方と「10MHz帯でJARLバンドプランの2KHzに合わせる」技術的テーマのメールのやり取りで、「技適の占有周波数帯域は3kHzである」ということを教えて頂いたことから始まった。電波法の条文を読むのは久しぶりでありもの論理構成力の低下ともの忘れの激しい頭脳で体力的にも厳しく、10MHz帯の占有周波数帯域をどのように決めたかを巡ってJARL内部での議論と総務省担当のやり取りもまったく知らず調べた事実だけに基づいて推定する作業は4ヶ月を要した。よって、このブログに書かれた推定の部分は小生の推理であり事実確認したものではないことを明記しておく。 1.はじめに 令和5年9月25日施行の JARLバンドプラン で、10MHz帯の10.130-10.150MHz帯の使用区別は占有周波数帯幅が3kHzの電波の型式は狭帯域のデータであったのが10kHz拡大されて10.120-10.150MHz帯で全ての電波型式(SSBとAMを除く)と拡大されたが占有周波数帯幅が2kHzに縮小された。 狭帯域のデータ以外の運用も可能になって一年経過し、利用者が少数の1,2級ハムのみの周波数帯域のため混雑もなくデジタル化を促進するこの拡大自体は喜ばしいが、なぜか占有周波数帯幅が従来の3kHzから2kHzに狭くなっている。 2.関連する電波法関連規定の調査 2.1  総務省告示第八十号 :2kHz以下 JARLのバンドプランに法的拘束力を与えるために総務省告示第八十号が制定されており、JARLバンドプランと同様に10.120-10.150MHz帯はすべての電波の型式で利用可能であるが占有周波数帯域は2kHzとなっている。 これで例えば最近話題のデータ通信VarACで3kHzの運用は改正前は自由だったが改正後はバンドプラン違反で運用できなくなった。FT8もSuperFOXで帯域幅1.5kHzまで拡張されて2kHz超えは目前で将来が心配である。また、解放されたデジタル音声は他のバンドでは占有周波数帯幅は3kHzであるが10MHz帯は2kHzで運用しなければならないことになる。 新たに運用が可能になったデジタル音声も2kHzで運用しなければならない。例えばFreeDVは現在の7つあるサブモードで最新に属する2020BとRADEがフ...

JAの周波数割当を考慮したFreeDVのCalling Frequencyの変更

  現状80mと160mのCalling FrequencyのListはJAにとってすべてがオフバンドであることを問題に取り上げてやり取りしていました。GUI担当のMoonerと80mは3.580MHzに追加でどうかというところまでは行きましたが、Moonerが多人数でとdigitalvoiceに話題を上げたところ雲ゆきがあやしくなりR2,R3を考慮して3.6120MHに移りその後USの下位クラスを考慮して3.8030MHzになってしまいました。ここはJAにとっては上の端3.805MHzのわずか2kHz下の辺境です。160mは最初は現状の1.997MHzを1.9120MHzでどうかと言われてたところ結局1.8700MHzで決着してくれました。 ということで結果は以下に書かれておりすでにCalling FrequencyにJAのためにとの理由で2つの周波数が変更されました。 https://github.com/drowe67/freedv-gui/pull/831 結論として、160mはJAのみならずグローバルなCOAを確立に貢献できたことには満足しています。よってFreeDVは1.850 ~ 1.900MHzがメインになるでしょう。80mは3.600MHzの近辺を狙っていたのですが実現しませんでした。理由はこの付近の開放はわずか12kHzで身動きが取れなかったためです。そのため3.612 ~ 3.662MHzと3.687 ~ 3.702MHzの開放をJARL・総務省に要望していくのが筋だと思っています。そうすれば現状の3.6250MHz, 3.6430MHz, 3.6930MHz, 3.6970MHzのすべてのCOAが利用可能になります。蛇足かもしれませんがFreeDVではWSJT-XのようにCOAを決めてここでの活動に注力するメディアではないと思っています。それよりも従来のPHONEの帯域をある程度棲み分けてデジタル用に確保するのがよいと思っています。例えば160mは1.85 ~1.90MHz, 80mは3.6MHz帯全部が今回見えてきました。 最後にオフバンドに関することですがCalling Frequencyで80mのほとんどと60mの3つすべてが該当します。ミスオペ防止のため削除要求しましたが、それはアマチュア無線...

FreeDV運用周波数

「JAの周波数割当を考慮したFreeDVのCalling Frequencyの変更」を3.項として追記しました。ご覧ください。  1.はじめに 以下は現状のレポートです。色々調べた結果を書いてありますが参考にしていただき試行錯誤を繰り返しFreeDVを楽しんでいただければ幸いです。 FreeDV ReporterにはWorking Frequencyというのが掲載されています。しかしながらこの周波数の選定根拠も不明で国内運用を主に考えると必ずしも適当であるとは思われません。9月25日施行のJARLバンドプランのHF帯ではDigital Voiceに関する運用周波数の記載はありません。ほとんど電波法と同じ規定で全電波型式の帯域であれば電波法に従って運用すれば法的にはまったく自由となっています。結果的に自主的な規則はJARLの上位にあると理解されるIARUのBand Planとの「国際的整合性」のみとなりました。国境を超えることを規制できないHF帯の電波の特性から「国際的整合性」規定には合理性があります。そして IARU Band Plan にはDigital Voiceに利用優先権のあるCenter of Activity(CoA)があることがわかりました。 よく見るとこのCoAの配置はPhoneの帯域の中でDataと共用している帯域に配置しています。 理由はIARUはDigital VoiceをDataではなくアナログのAMとかSSBと同じPhoneに属すると位置づけており、もしDigital VoiceにAM、SSBとの混信を避けるListen Before Talk(空きチャネルチエック)のような機能がない場合はDataとの共用帯域に置くことが混信を避けやすいとの考え方に立っていると思われます。 そのため JARLのバンドプランはIARU R3 Bandplan記載の基本原則(3)により特段の記載がない限り暗黙的にR3 Bandplanに従っているとの解釈で このCoA付近での運用を目指すことにしました。 もっともFreeDVはAnalogモードに切り替えればAM,SSBモードでも瞬時に「空きチャネルチェック」を行えるため必ずしも共用のData帯域いにいる必要はありません。また、幸いなことに FreeDV ReporterというFreeDV運用局の送受周...

FreeDVを理解するために(その1:開発史)

1. はじめに このブログの目的はFreeDVはなぜ D-Starで採用されているAMBE等を使わないのか? Codec2と2020の2つの異なるモードがあるのか? Codec2と2020を比較すると圧縮レートと占有帯域は技術的進歩と逆じゃない? GPU内蔵ハイエンドCPUを必要とする2020は何をCodec2より良くしようとするのか目的がよくわからない。 携帯で使われている4.8〜16kbpsレベルのコーデックをなぜ使えないの? コーデックの開発技術はアマチュア無線家の領域なの? などの素朴な疑問の答えのヒントにと思い書きました。 2.CODEC2 FreeDVの主要技術「コーデック」に関して英語のWikipediaのCodec2の「History」の部分をGoogle翻訳したものである。 この部分はCodec2のVK5GDRのみならずもう一方のコーデック技術である2020モードであるLPCNet開発者であるJean-Marc Valin の関係も記述されておりかつ背後にK6BP Bruce Perensの存在が記述されており開発紀元は2009年であり四半世紀の歴史があることがわかるが実際には2人の研究者しかプログラミングを含めて開発に関与していないことがわかる。簡潔であるが貴重な歴史が記述されている。 筆者注1.FreeDVの「Noise Suppresion」(Mic Audio Pre-Processing)にSpeexの名がある。筆者の経験ではWindowsのMedia Techものに較べてあまり良い性能ではないと思っている。しかし、最近ではSpeexに代わって RNNoise という高性能のNoise Suppressiong技術を提案している。これはLPCNetと同じ技術を使っているようで2020への導入は容易に見える。 筆者注2.Mobilesatは豪州で1990年代初頭に開発されている。 筆者注3.2010年には2400bps程度であったCodec2の圧縮速度は2012年頃の1400bpsを経て2017年の700Cで700bpsが達成されて現在にいたっている。700D、700Eも同じ700bpsのCodec2である。また450bpsが実験レベルである。 ------------------------------------------------...

10MHz帯でFreeDVがブレークしました

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FreeDVに関して総務省の制度改正で2023年9月25日から 一切の変更手続きなしで自由にOn-airできることになりました。 10.120MHz以上の10MHz帯が音声(占有帯域幅<2kHzの制限で事実上FreeDVのみ)に開放されました。 これを機に今週末は10MHz帯の上端で最大3チャネルの運用が見られます。早朝から夕刻まで国内が安定して開いています。10MHz帯での運用は今の所JAのみです。 同時にFreeDVのGUIが改良されて世界規模でリアルタイムの運用状況が画面で確認でき便利になりました。今週末には世界で60局以上の運用が確認できます。JAの10MHz帯での運用が活発なのは一目瞭然で、現状日本語によるガラパゴス運用状態ですが、 FreeDV ReporterのChatページには              <K5WH> 40m ls has some analog station for me here on 7200. <K5WH> been hoping to get some signals into Japan someday. の書き込みがあり最近JAが開拓した7.200MHzとともに世界はJAの動向に注目しているようです。 FreeDVを初めて以来こんな活況は初体験です。 左は10MHz帯のSDRスペクトラム画面で左がFT8の運用状況で右がFreeDVです。真ん中はFreeDVのメイン画面、右は新設GUIのFreeDV Reporterページで全世界の局の運用がリアルタイムにわかります。赤は送信中の局青はその信号を受信の局 。

ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線の活用等に係る制度改正案への提案意見書と回答へのコメント

別紙 2 (2) アマチュア局に係る電波の型式、周波数及び空中線電力の一括表示記号の導入 改正目的から周波数帯毎の占有帯域幅規定とし電波型式を用いない表現に改めるべき。例えば A1A は「キャリアの断続によるモールス符号」とする。どうしても電波の形式を残したいなら現状 OFDM 変調( FreeDV を含む)の G7D とともに G 7 W を追加すとともに今後新たな変調方式が利用されるごとに「その他の電波型式」に分類されないように工夫すべき。 2 (4) 送信機の外部入力端子に接続する「アマチュア局特定附属装置」に係る簡素合理化 1.別添6の3項および4項の適用の条件で「無線設備の電気的特性に変更。。限る」の追加は一部変更による軽微な届出制度をなくすため反対。 1)本来付属装置は電波法施行規則別表第二号二(7)アに「模写電送装置、印刷電信装置印刷電信装置」で規定されるものである。そのため別添5の「付属装置に係る工事設計」を削除訂正は正しい。しかし「いずれも占有周波数帯幅が増大することとなるもの。。検査を要しない旨を申請者に対して通知したものに限る。」とすでに規定されており別添6に新たな項目を追加する必要はない。 2)追加すれば、本年当局が行った無線設備本体の変更届の際「アマチュア無線担当」の電波法解釈誤りによる通知照会(注1)が今後も起き一部変更による軽微な届出制度がなくなる。 2.別添6の4項に別添5の4項(20 W 以上)の適用の条件(1)(2)を削除し20 W 以下と同様とする簡易化に賛成。 3.1項の適用条件の最後に追加された「に限る。」は使わないのがフォーマット上正しい。 4.「水晶片に係る。。場合」の追加趣旨不明。「削る」は「削除」のこと?それとも水晶片を物理的に削ること? 新たな制限付加なら2.項に記述により反対。 5.「シンセサイザー送信装置の周波数合成回路に。。に限る。」の追加趣旨不明。 CB 無線の電波法規定4条第2号規定をアマチュアの規定に入れのか? 新たな制限付加なら反対。   注1:問い合わせ番号: S20220110-00001429 に関するメールでのやり取り 1)アマチュア無線担当からの「通知書照会」 アマチュア無線局の変更申請についてお伺いしたいことがあります。今回の第一...