ThetisをminiPC (Beelink U59)で走らせる

 1.はじめに

SDRソフトの代表であるOpenHPSDRは多機能でそれなりのCPUパワーが必要と思い当局もi7-8700のCPUを搭載したメインのPCを3年以上使ってきた。このメインPCにはWSJT-XとかLOG4OM2とかハムの運用に必要なソフトがすべてインストールしているため過負荷で同期が外れるのに気を使うことも多くなってきた。それに加えてブラウザー・メールの汎用ソフトも使うしソフトの開発修正等でWindowsとLinuxのDual環境となって冷蔵庫状態になってしまっている。

そろそろPCの分散を考える時に来たと感じていて、横目でRadioBerryとかHL2を見ているがこのRasberryPiはLinHPSDRベースでThetisに慣れている自分にはすぐに飽いてしまうし半導体不足で基板単体で2万円台に跳ね上がった昨今ではどうかと悩んでいると、

Amazon Japanに

Beelink U59 ミニ Pc Windows 11 Pro、8GB DDR4 256GB SSD Intel 第11世代プロセッサ N5095 4C 4T Up to 2.9Ghz、2HDMI / typc 3.0 4K@60Hzつの出力ギガビットイーサネット2.4 g / 5 gのWi - Fi BT - 4.0




の謡文句で2万7千円台で売られているのを見て75歳の誕生日のプレゼントとして6月末に入手してしまった。最悪Thetisで動かなくってもLinuxマシンとしてLinHPSDRを動かせばきれいな箱入りの完成品は基板むき出しのRPよりはましかと思って。

2.Thetisを入れてマイク・ヘッドフォーンをつないでみると

Thetisの立ち上げに20秒かかるのはご愛嬌として(電源ボタンの設定をHibernateとすることで立ち上げは省略できる)Thetisの受信時のCPU利用率はDiversityを入れても35%台でメモリは200MBである。KT USB Audioと認識されるフォーンジャックはThetisではWindows WSM-KS Driverとして認識されてサンプル率4800bps、バッファーサイズ512Bで遅延も少なく受信できる。送信時に試しにPuresignalを試して見たがフィードバックも正常にかかるしCPU利用率も45%ぐらいに収まってくれている。あっさりと正常動作ですぐに既存のRedPitayaを使ってオンエアー可能であった。




3.タッチスクリーン10.1インチとRDPリモート接続を試す

別途アマゾンで1024X600の10.1インチのディスプレイを購入した。これはメインPCの2画面からThetisの画面を追い出したかったからである。このディスプレイの背面にはRPを搭載することができるがMiniPCはさすがに無理のようだ。


ThetisはExpand modeでは最低1024x612が必要でCollaps modeでTop Controlだけチェックを入れれば2項のスクリーンショットのようになんとか1024X600に収まることがわかった。

Linuxでも20.04以降は従来のVNCだけでなくWindowsのRDPが使えるのでメインのPCからリモート接続も可能となった。このほうが1980x1280のフルスクリーンでメインのキーボード・マウスで操作が可能なので調整時には便利である。ただし数%のCPU負荷増加がるので常時はタッチパネルで対応することにした。

4.VoicemeeterのVBANを試す

メインPC(第8世代のi7)の運用でデコード時24%ぐらいはCPUを消費するJTDXをBeelinkに入れるのは無謀と判断してメインPCに接続している。

そのためShureマイクとBose SpeakerもメインPCに残して4800bpsの接続でVoicemeterのVBANを使ったリモート接続を試した。幸いVoicemeeterはVBANのインターフェースをオープンにしているのでLinuxでもvban - Linux command-line VBAN toolsを使ってリモート接続が可能である。

結果は遅延の増加もあまりなく音切れもなくメインPCでのFreeDVを含めてデジタル運用はそのまま可能でSureマイクとBoseスピーカーでのアナログ運用も含めて現状のPC環境でそのまま可能となった。





5.TCPIPサーバでのCATコントロール

メインPCからのCAT制御は従来のVSPEではなくTCP/IPサーバーでの接続を試みた。ThetisにはCAT+にこの機能がある。クライアンと側のRig設定は”FlexRadio/ANAN PowerSDR/Thetis"を選択してSerial PortにBeelinkのIPアドレスとPort 13013を記載する。


Thetis(サーバー)の設定
JTDX(クライアント)の設定

6.Log4OM2をBeelinkに入れる

Beelink単体でSSBとCWの運用が可能となったのでログソフトLog4OM2が使えればより便利である。メモリが350MB消費されるが幸いCPUは1%の増加にとどまってくれた。JTDXからのログ情報はUDP ServerのIPアドレスをBeelinkとしポート番号を2237とすればよい。QSLITEのデータベースはOne Driveに移すことでメインPCにもあるLog4OM2と同時運用も可能である。メインPCからのThetisへのCATインターフェースは5.項に記載のTCP/IPインターフェースで、Beelink側はThetisに加えてFT-450Dも制御したかったのでVSPE+Omnirigとしたがこの部分でのCPU負荷は無視できる。

7.まとめ

一ヶ月をかけて最小限のThetisから順次周辺のソフトを追加してWindows・LinuxのメインPCとのリモート接続環境を立ち上げた。購入時の心配は杞憂に終わった。電源スイッチをHibernet設定とすることで数秒でThetisが運用開始になりほとんど従来のハード無線機と同じ感覚のSDR機になる。

ではApache LabsのAndromedaはなぜi7/5 NUCを使っているのかと問われるとProtocol2とDUAL Receiverのためと答えるのが正解と思い始めた。試しにProtocol1でもDUALにするとCPU利用率はシングルチャネルの2倍の70%に上がってしまう。



Protocol2もDual RXを使うコンテスターではないことを前提にするとCereronベースのNUCでも十分と思われる。もう少し試してみたい。

2022年8月7日記

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