RADEのPAPR確認作業で得られた思いがけない成果:2アマではデジタルモードではピーク電力500Wリニアアンプが使える
1.まとめ
「アマチュア局の最大電力は、関係主管庁が定める」(ITU RR25.7$4)と電力規定はITUから各国に不可侵の権利としてゆだねられている。電力規定は電力の数値と電力をピークとして捉えるか平均電力と捉えるかに区分されている。
RADEの変調方式が位相変調のため日本の電波法では定格電力が米国などのようにピーク電力で規定されておらず同じ値(例えば100W機であればピークも平均も100W)の平均電力で規定されておりかつPAPRの規定はないのでこの値は気にしなくてもよい。一方米国などは数値もピーク電力も度の変調モードにもかかわらず一択である。例えば米国での最大電力は1.5kWp-pのように。それなのに、オーストラリアはピークと平均電力を選択できるがその数値は平均を選べば約3分の1になるいうになっている。それぞれ組み合わせが異なっている。結論的に「ITUは各国に不可侵の権利として委ねている」が現実である。
このことから日本はRADEにとって大変有利なありがたい規定となっている。加えて2アマでは200Wの平均電力で固定運用が許可されることから現状100WのSSB機ではさらに3dB分多いリニアアンプを外付けできることになることになる。そしてFT8の周波数変調方式も同じく平均電力規定であり一般的にいってデジタルモードの特徴であることがわかる。
なぜこんな荒唐無稽に見える提案をするのかを理解いただくために5)項とは別の説明を試みると、下の表のSSBのPAPR実測値が9.26dBあることを前提に既存のSSB機は設計され製造されている。平均電力はわずか12%となり電波の到達距離は短くなるが熱設計上は小型化軽量化が可能であった。一方RADEはMLデジタル技術を利用して送信電力密度を圧縮をしてPAPR4dBのためSSBに較べて5.26dBより長距離の運用が可能になった。それに加えて日本では電波法の規定でRADEは平均電力で規定されていることを考慮するとさらにPAPR分4dBを加えて、計9.26dB長距離での運用が可能になっる。さらに2アマを例にすると200Wの平均電力で固定運用が許可されることになり大半の局は100WのSSB機を利用しているためさらに3dB、計12.26dB長距離運用が可能になる。これは利得3dB+9.26dBのリニアを外付けすればよい。もしこのデジタルモード用リニアをメーカーが技適取得済みで販売すればわざわざ1アマと直接検査の2重の壁を超える苦労はもう誰もしなくて済む。
参考のためにこのリニアのスペックの素案を以下に示す。
1.既存2級ハムおよび直接検査を嫌う1級ハムを主対象にFT8とFreeDVのデジタルモードを主目的に平均電力200Wの連続運転可能なデジタルモード用リニアアンプ。
2.運用周波数:1.8MHz~50MHz
3.送信電力:30分程度の連続運転での平均電力:200W。
ピーク電力:ガウス分布でmax4dB(max500W)。
4.最小入力電力:50W機の最大平均電力10~15W程度を想定。
6.ピークと平均電力の表示器は内蔵としたい。
別の例を考えると5WQRPでのフィールド運用でもSSBの5W/0.12=42W相当の運用となるメリットは容易に想像できる。(平均電力5Wの運用は実機で問題ないと思うけどこの時PAPR=4dB(ピーク電力12.5W)が可能かは実機の実力を確認してもらいたい。)
これらの例はRADEのPAPR確認作業で得られた思いがけないデジタル時代の恩恵である。考えてみれば、OFDM変調とFSK変調は平均電力で規定されているのはアマチュア業務のみでなく携帯電話とか無線LANの移動通信業務では以前から常識である。ただ海外のアマチュア業務は未だアナログ変調主体の法体系がで一元的にピーク電力となっている。諸外国のように各無線業務に応じた電波規制をせず、できるだけすべての業務を網羅した汎用な記述した複雑難解な電波法体系のおかげで得をしたものと思っている。
残念ながら上記のことを理解しているのはRADEのPAPRを2年間に渡って調べてきた小生以外はいないのが現実のようである。
以上
2.RADE2のPAPRの評価
RADEの評価グループで開発中のRADE2の音声評価を行っている中でPAPRの評価を行った結果を下表にまとめておいた。以下の説明は測定の評価(1項から3項)と各国の定格電力規定(4項)と日本の電波法規定に従った「2アマ用500Wピーク電力出せるデジタルモード用リニアアンプ」の提案(5項)である。
1)Source Fileの形式はDavid March 2026 – AI V1 C Port QA, Claude Code, V2 EOO and SNR, Stored File OTA tests の下のページにある「High SNR spectrogram, chirp-SSB-RADE V1-RADE V2. Note the difference in bandwidth for RADE V1 and V2」の図の形をしている。RADE2の評価が妥当であることを確認するためにRADE1のみならずその他の方式のPAPRが測定されている。
2)測定はFreeDVの出力点でのPAPRである。変調器とPAの介在で送信機の出力点の真のPAPRは若干増大するので要注意。一方本文の2.2項の測定データは真のPAPRであるがここでのデータはAudacityによるので本文2.2項よりは測定精度はよい。
3)CHIRPとSSBのPAPRが追加されている。FT8と同じ定振幅変調のCHIRPのPAPRは0dBで良好であるがSSBのPAPRは9.26dBとRADEに較べても高い。
4)RADEに対するPower Definitionは送信機の電力規定が各国によって異なるので注意喚起として記載してある。ピーク電力と平均電力はRADEの場合約4dBの差がありこれをPAPRと称している。諸外国では定格電力は一律ピーク電力のみで規定されている国が多い。一方、日本のアマチュア無線業務では平均電力が採用されている。平均電力である理由は付属装置のベースバンドの変調の型式が電波の型式(電波法施行規則第四条の二)になり工事設計書の電波の型式となり送信機の空中線電力(同規則第四条の四)になるためG系の電波の型式は平均電力と規定されていることが確認できる。アマチュア特定付属装置の免許手続きの簡素合理化で電波の型式が記載が不要になったので電波の型式を以前ほど意識することはなくなったが、電波の型式で平均電力かピーク電力かを切り分ける法律の立てつけは変わっていない。
5)例えば既存の100WのSSB無線機でのRADEを運用している場合に平均電力は(ピーク100WーPAPR=100W-4dB=100/2.5)40Wしか出ていないことに気付かれると思う。これに加えて2アマの運用は流通されているSSB無線機はほとんど100Wが多いにも関わらず2倍の平均電力200Wまで許されているのでこの差を外付けのリニアアンプ(4dB+3dB)で補おうと考えるのは自然であり合理的である。この際ピーク電力は200Wx2.5=500WとなりアナログSSB機の運用感覚ではオーバーパワーと考えるかもしれないが4)項で書かれているようにG系には電波法で本来運用が認められていることを失念していただけである。平均電力はRADEのように電波の型式が位相変調系のG系のみならず周波数変調系のF系でも同じであることからFT8でも同じことであった。このリニアはSSB、CW、デジタルモードすべて200W機であるため技適取得またはJARDの保証認定で直接検査は不要である。アナログモードにはないデジタルモードの特徴である。
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