RADEのPARP規定の引き上げ(<0.8dBから4.5dBぐらい)とこの実践的確認

 2026年7月6日改定:電波法の電力単位に関する記述を削除。

2026年7月8日追加:RADE2の評価グループに参加した際に取得したPAPRのデータの追加

2026年7月14日追加:2アマ向け「リニアのスペックの素案」の追加

ーーーーーーーーーーーーーー2026年7月追加ーーーーーーーーーーーーーーーーー

下の表は開発中のRADE2のPAPRが規格通り改善されているかを測定で確認した結果をまとめたものである。

1)Source Fileの形式はDavid March 2026 – AI V1 C Port QA, Claude Code, V2 EOO and SNR, Stored File OTA tests の下のページにある「High SNR spectrogram, chirp-SSB-RADE V1-RADE V2. Note the difference in bandwidth for RADE V1 and V2」の図の形をしている。RADE2の評価が妥当であることを確認するためにRADE1のみならずその他の方式のPAPRが測定されている。

2)測定はFreeDVの出力点でのPAPRである。変調器とPAの介在で送信機の出力点の真のPAPRは若干増大するので要注意。一方本文の2.2項の測定データは真のPAPRであるがここでのデータはAudacityによるので本文2.2項よりは測定精度はよい。

3)CHIRPとSSBのPAPRが追加されている。FT8と同じ定振幅変調のCHIRPのPAPRは0dBで良好であるがSSBのPAPRは9.26dBとRADEに較べても高い。

4)RADEに対するPower Definitionは送信機の電力規定が各国によって異なるので注意喚起として記載してある。ピーク電力と平均電力はRADEの場合約4dBの差がありこれをPAPRと称している。諸外国では定格電力は一律ピーク電力のみで規定されている国が多い。一方、日本のアマチュア無線業務では平均電力が採用されている。平均電力である理由は付属装置のベースバンドの変調の型式が電波の型式(電波法施行規則第四条の二)になり工事設計書の電波の型式となり送信機の空中線電力(同規則第四条の四)になるためG系の電波の型式は平均電力と規定されていることが確認できる。アマチュア特定付属装置の免許手続きの簡素合理化で電波の型式が記載が不要になったので電波の型式を以前ほど意識することはなくなったが、電波の型式で平均電力かピーク電力かを切り分ける法律の立てつけは変わっていない。

5)例えば100WSSB無線機で運用している場合に平均電力は(ピーク100WーPAPR=100W-4dB=100/2.5)40Wしか出ていないことに気付かれると思う。特に2アマの運用は100SSB無線機が多いにも関わらず5倍の平均電力200Wまで許されているのでこの差を外付けのリニアアンプで補おうと考えるのは自然であり合理的である。この際ピーク電力は200Wx2.5=500Wとなり従来の感覚ではオーバーパワーでは許されないと考えるかもしれないが4)項で書かれているように電波法では以前から認められている。平均電力は電波の型式が位相変調系のG系のみならず周波数変調系のF系でも同じであることからFT8でも同じことであった。このリニアはSSB、CW、デジタルモードすべて200W機であるため技適取得またはJARDの保証認定で直接検査は不要である。アナログモードにはないデジタルモードの特徴である。

参考のためにこのリニアのスペックの素案を以下に示す。

1.既存2級および1級ハムを主対象にFT8とFreeDVのデジタルモードを主目的に平均電力200Wが連続運転可能なデジタルモード用リニアアンプ
2.運用周波数:1.8MHz~50MHz(高い周波数の削減は可能)
3.送信電力:30分程度の連続運転での平均電力:200W
              ピーク電力:ガウス分布でmax4dB(max500W)
4.最小入力電力:10~15W程度
5.200W平均電力のリミッター機能は必須としたい。200Wピークリミッターの具備は検討する
6.ピークと平均電力の表示器は内蔵としたい
7.初期モデルではリグ制御等は最小限としてマニュアル制御は可能としたい
8.技適取得は必須

6)RADE2は内蔵フィルターを搭載してありRADE1帯域外特性は向上しており送信機の帯域フィルター調整は不要。


Updated Spec, Measured PAPR and Power Definition
CHIRPSSBRADE1RADE2
Updated Spec.4.203.50
注記:初期のspec.は<0.7dB
Source FilePEAK-6.02-6.02-6.02-6.02
RMS-9.03-18.29-12.66-12.26
PAPR(dB)0.009.263.633.23
Power DefinitionJAPANAveragePeakAverageAverage
ROWPeakPeakPeakPeak
注記:ソースファイルをAudacityのAnalyzerのPeak and RMSで解析した

ーーーーーーーーーーーーーー2026年7月追加ーーーーーーーーーーーーーーーーー


1.はじめに(2026年1月作成)

David Roweの7月のブログを読むとRADEPAPRの値が<1dBから4.5dBぐらい(more likeと漠とした表記)に引き上げられていた。これはSSB送信機には一般的に300Hzから2700Hzぐらいの帯域制限フィルターが入っていることに最近気が付いたとの説明である。筆者はこの説明に異論を持つが、その後の記述は今後の対応について書かれている。省略するが今後RADE2の開発の中で0.8dBが得られるよう検討するとのことである。ご興味のある方はブログを詳しくお読みいただきたい。

このような訳で開発側の現状認識と小生の認識はある程度一致してきたが(注1)、国内のQSOを聞いていると開発側の情報が必ずしも正確にフィードバックがかかっていないためか

RADEの運用にあたって

1)送信電力はどの程度で運用すべきか(注2)

2)送信フィルターの帯域幅はいくらで運用すべきか(注3)

の質問が際限なく出されており一致した見解が得られていないようである。

もし開発側の情報によると2つのパラメータが関係するとのことであるとすれば、一部の局が実験と称してRADEの所要送信帯域幅の1.5kHz以下に狭めた運用は技術的に無謀である。

幸い自作中のアンテナチューナATU-100のディスプレイの送信電力表示はバー表示でなくピーク値が2桁の数値で表示されるとマニュアルに記述があったので当局のシステムで実際に測定してみようと思った。残念ながら平均値が測定されないのでこれは手持ちの平均値を表示のDAIWAアナログメーターで読むことにした。両者とも無校正のため校正として測定値に影響がない無変調波によるThetisのTUNEでATU-100の測定値は20WでありDAIWAでは16Wであり4Wの違いがある。これを無視しておくのはさすがに荒っぽいので公開はためらったが目的は送信フィルターの帯域幅の影響を見てみたかったのでPARP値はエクセルで補正して公開することにした。ピーク値と平均値を読める電力計で測定時間はAudacityによる測定の経験からもピーク値は10秒ほど観測すれば安定するのでこの程度の観測時間を確保した。

2.送信フィルターの帯域幅とピーク送信電力の実測

2.1実験諸元

  • 実験系統:FreeDV 2.2.0-dev-afbc-->Thetis---> RP-->TS-570 --> ATU-100 -->50Ωダミーcs。周波数7.177MHz。
  • 送信フィルターの帯域幅:Thetis Transmit FilterのHighとLowの設定。
  • ピーク送信電力:ATU-100のPWR読取り値。10秒ほど観測した値の最大値。
  • 平均送信電力:Thetis TUNEによる連続波で20Wを指しDAIWAのアナログ電力計では16Wの表示。このためPAPR計算のために平均値はDAIWAの平均値の25%増とした

2.2実験結果


3.まとめ

1)簡易な方法としてピーク電力計で3kHz以下で送信帯域幅をより狭くするとピーク送信電力が増大することを確認できた。よって各局の送信フィルターは可能な限りもっとも広く設定することが望ましいことになる。当局の場合はSDRのThetisであり3kHzは設定が可能である。国内メーカーの最新のSDR機も3kHzは可能である。古いDSP機でも2.8~2.6kHzは設定可能でありDavidの「一般的に300Hzから2700Hzぐらいの帯域制限フィルター」はDIGITALモードのないSSB機で標準に選ぶには古すぎる。不幸にも現状10MHzはJARLの考えで2kHzであるので2kHzに設定は現状止むをえないが。。。

2)所要送信帯域幅の2.0kHzおよびそれより以下に狭めた運用は平均電力20Wで運用してもピーク電力は74Wに達する。おまけに主搬送波を切ってしまうのでDAIWA平均の電力はその分減少し相手局のSNRはその下がってしまう。誤り検出ではねられる可能性も現実的になるだろう。

3)送信帯域幅3kHzの実測値4.0dBはAudacityによる10秒観測値のPARP4.5dB(=6dB-1.5dB)とよく一致している。また送信帯域幅2.5kHzの実測値4.3dBはDavidの4.5dBぐらいともよく一致している。

4)TS-570のバー表示の電力計でも10秒ほど見ていると瞬間大きくなることでRADEのピークの存在は同様に確認できると思われる。各局で追試・確認は可能で特にピークと平均が同時に測定できるパワー計をお持ちの方の追試と結果の開示をお願いしたい。(注4)

5)RADE2 でRADE1の改良を含めて目標の<0.8dBが実現できることを期待するが、本当にできる?

結論は、RADE1はPAPR値を最小とするため99%OBW3kHz以内を守りつつできるだけ拡げて運用しましょう。これでPAPRは4dBに収まります。そして10MH帯は総務省に対して「10MHz帯はバンドが狭いので2kHzが適当」との意見を我々に一切説明せず総務省にガラガラで空いているのに根拠のない意見を述べるJARL担当に反省と意見撤回を求めましょう。RADEのユーザーにもJARLの幹部はいるのですから協力をお願いしましょう。帯域幅を狭めて整形したので見た目にきれいになったと喜んでも主搬送部分が時間的に変動して汚くなっていることに気づいていない。(注1の2.項のオーバーシュートの部分を読んでください)

以上

注1:

OFDMのPAPRは搬送波がサブキャリアとして複数になると必然的に生じると教科書で学んだが送信フィルターで送信帯域を制限するとPAPRにさらなる悪影響をあたえるのは本当なのかについてGoogle AIの回答は以下の通りで、3.項で「帯域効率を犠牲にします」とある。今回の実践的な確認の正当性を    Googe AIは支持してくれているので安心した。JARL担当もRADEV1のRF Bandwidthは1.5kHzなので10MHz帯のJARLバンドプランの帯域幅の2kHzで十分でしょうと単純に考えないで頂きたい。本当に必要なら設計が複雑になっても仕方ない世界ですが、10MHz帯のみ例外的に2kHzと厳しくするのならそれなりの説得力のある説明がJARLから有ってしかるべきです。
JH0PCFさん提供のRADEV1とRADE2の諸元

(V2は700Eと700Dの関係と同じくV1に較べて帯域幅は約半分になります。このためFreeDVのプログラム内に送信フィルターを置きPAPRを積極的に制御してPAPRを最適化しかつ送信機内の帯域フィルターは3kHzいっぱいに広げてPAPRに悪影響を与えない設計方式に戻すべきと思います。結局V1もV2も送信機帯域フィルターは3kHzとしておけばよいのです)

Google AIの回答

Q:relationship of bandwidth and PAPR

A: 帯域幅(Bandwidth)とPAPR(ピーク対平均電力比)の関係は、主に**マルチキャリア通信(OFDMなど)**において、データレートの向上や信号処理の過程で密接に関わってきます。 

1. サブキャリア数と帯域幅の影響 
OFDM方式では、システムの帯域幅を広げるためにサブキャリア数(N)を増やすことが一般的です。 
  • 理論上の関係: サブキャリアが同相で重なった際のピーク電力は平均電力の
    Ncap N
    倍に達するため、理論上の最大PAPRは
    10log10(N)10 log base 10 of open paren cap N close paren
    dB となり、サブキャリア数(=帯域幅の拡張)が増えるほどPAPRは増大します。
  • 現実的な影響: 実際の通信では全キャリアが同時にピークに達する確率は低いですが、5Gなどの広帯域システムではキャリア数が増えるため、依然として高いPAPRが大きな課題となります。 
2. 帯域制限とフィルタリングによるPAPRの悪化 
信号を特定の帯域内に収めるための**フィルタリング(帯域制限)**は、逆にPAPRを悪化させることがあります。 

  • オーバーシュート: 理想的な矩形に近いフィルタを適用して急激に帯域を制限すると、時間領域で信号の「波打ち(ギブス現象)」が発生し、ピーク値が元の信号よりも高くなる(PAPR Penalty)現象が起こります。 
3. PAPR削減手法と帯域効率のトレードオフ 

PAPRを下げるための技術の多くは、帯域効率を犠牲にします。 


  • 冗長性の追加: 「符号化」や「トーン予約(Tone Reservation)」などの手法では、PAPR削減のためにデータ送信に使わない予備のサブキャリアやビットを使用するため、実効的な帯域利用率が低下します。
  • 歪みの発生: 「クリッピング」などの手法は帯域外輻射(スプリアス)を引き起こし、隣接チャネルへの干渉を防ぐためにさらなるフィルタリングが必要となり、結果として設計の複雑さが増します。 

まとめ表 


変化要因  PAPRへの影響              理由
サブキャリア数の増加 増大より多くの波が同相で重なる確率が上がるため。
厳格な帯域制限 増大フィルタによる時間領域のオーバーシュートが発生するため。
PAPR削減技術の適用 低下ただし、有効な帯域幅(データ伝送効率)が減少する傾向がある。

注2:

平均電力と尖頭電力の2つの定義が混在して質問されている。これは従来の電力計で測定できる。一方FreeDVではOFDMでを使っているためPAPR (Peak-to-Average Power Ratio:ピーク対平均電力比)を技術評価指数として使っている。

https://www.reddit.com/r/DSP/comments/12njvl5/peaktoaverage_power_ratio/

https://www.etti.unibw.de/labalive/experiment/paprofdm/
https://www.etti.unibw.de/labalive/experiment/paprofdm/
平均電力(Average Power:無線機器が送信を行う際の「通常の動作状態」において、一定の時間(変調の最低周波数に比して十分に長い時間)にわたり、送信機から空中線(アンテナ)へ供給される電力の平均値を指す。

尖頭電力:通常の動作状態において、変調包絡線の最高尖頭における無線周波数一サイクルの間に送信機から空中線系の給電線に供給される平均の電力をいう。
 
PAPR(Peak-to-Average Power Ratio:ピーク対平均電力比):送信信号の「平均電力」に対する「瞬間的な最大電力」の比率


注3:

伝統的にFreeDVはFT-8と同じく帯域内漏洩電力をカットするための送信フィルターは内蔵していた。しかしRADEモードはPAPRを夢のような<0.8dBを達成するためと称して送信フィルターは実装せず自己責任でアマチュアの実験に供するものとして開示した。開示以前での小生の質問で3kHzから2kHz帯域制限でのPAPRはわずか <1.8dB (0.8dB+1dB)であった。これが今回<0.8dBから~4.5dBになったので驚愕大地である。



開示後、10MHz帯の占有帯域幅が2kHz以内となっている特殊な環境のJAで10MHzで運用を目指す局が送信スペクトラムの詳細な検討を行い、その中で古いSSBリグで運用する局はAPOと称するソフトの外付けのフィルターを付けて運用し始めてこの方法が広く流布されることになった。APOの用語自体が送信フィルターのことであるとJAのみが理解している造語である。

しかしこの挿入操作が面倒なのでいつしか他のバンドでも外付けのフィルターを使うのが風習となったために10MHz帯で運用しない多くの局にとって本来の目的が不明となりPAPRのさらなる劣化などの副作用はまったく理解されない状況が続いている。

注4:

追試情報として本ブログ執筆開始は1月23日であるが2月1日付けにGoogle GroupsのdigitalvoiceのフォーラムにW4XAが小生と同様な測定結果を公表しているのを見つけた。Bird43の平均電力計での読みが50Wで比較の3つのピーク電力計での読みを150W, 150W-170W, 130-150W であり両者の差は3倍以上と結論づけており小生の測定と大体同じである。問題視でないが仕様の1dB以下と実際の違いを疑問視した投稿になっている。ただし帯域制限の影響には言及していないのでこれは不明である。

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