RADEのPARP規定の引き上げ(<0.8dBから4.5dBぐらい)とこの実践的確認
1.はじめに
David Roweの7月のブログを読むとしらっとRADEのPAPRの値が<1dBから4.5dBぐらい(more likeと漠とした表記)に引き上げられていた。これはSSB送信機には一般的に300Hzから2700Hzぐらいの帯域制限フィルターが入っていることに最近気が付いたとの説明である。その後の記述は今後の対応について書かれているので省略するが今後RADE2の開発の中で0.8dBが得られるよう検討するとのことである。ご興味のある方はブログを詳しくお読みいただきたい。
このような訳で開発側の現状認識と小生の認識はある程度一致してきたが、国内のQSOを聞いていると開発側の情報が必ずしも正確にフィードバックがかかっていないためか
RADEの運用にあたって
1)送信電力はどの程度で運用すべきか
2)送信フィルターの帯域幅はいくらで運用すべきか
の質問が際限なく出されており一致した見解が得られていないようである。
もし開発側の情報によると2つのパラメータが関係するとのことであるとすれば、一部の局が実験と称してRADEの所要送信帯域幅の1.5kHz以下に狭めた運用は特に小電力で許可されている局において電波法の規定に合致しない危惧をもっていた。この危惧は1年前にRADEの国内運用の開始時の性能紹介を読ませて頂いた際に驚異的なPARP値に驚いたため注意書きの和訳に「自己責任」を追加してはどうかと提案した際、逆に「あやふやなものを紹介して大丈夫。。。」とのクレームにも似た反応があったことに通じている。
幸い自作中のアンテナチューナATU-100のディスプレイの送信電力表示はバー表示でなくピーク値が2桁の数値で表示されるとの記述があったので当局のシステムで実際に測定してみようと思った。残念ながら平均値が測定されないのでこれは手持ちの平均値を表示のDAIWAアナログメーターで読むことにした。両者とも無校正のためもっとも測定値に影響がないThetisの無変調波によるTUNEでATU-100の測定値は20WでありDAIWAでは16Wであり4Wの測定誤差がある。これはさすがに荒っぽいので公開はためらったが目的は送信フィルターの帯域幅の影響を見てみたかったのでブログレベルの正確さで許して頂いて公開することにした。ピーク値と平均値を読める電力計で測定時間はAudacityによる測定の経験からもピーク値は10秒ほど観測すれば安定するのでこの程度の観測時間を確保した。
2.送信フィルターの帯域幅とピーク送信電力の実測
2.1実験諸元
- 実験系統:FreeDV 2.2.0-dev-afbc-->Thetis---> TS-570 --> ATU-100 -->50Ωダミーcs周波数7.177MHz。
- 送信フィルターの帯域幅:Thetis Transmit FilterのHighとLowの設定。
- ピーク送信電力:ATU-100のPWR読取り値。10秒ほど観測した値の最大値。
- 平均送信電力:Thetis TUNEによる連続波で20Wを指しDAIWAのアナログ電力計では16Wの表示。このためPAPR計算のために平均値はDAIWAの平均値の25%増とした
2.2実験結果
1)3kHz以下で送信帯域幅をより狭くするとピーク送信電力は増大することが確認できた。電波法の電力規定は平均電力ではなくピーク電力である。よって各局の送信フィルターは可能な限りもっとも広く運用することが望ましいことになる。当局の場合はSDRのThetisであり3kHzは設定が可能である。国内メーカーの最新のSDR機も3kHzは可能である。古いDSP機でも2.8~2.6kHzは設定可能でありDavidの「一般的に300Hzから2700Hzぐらいの帯域制限フィルター」はDIGITALモードのないSSB機で古すぎる。不幸にも現状10MHzは電波法の規定で2kHzであるので2kHzに設定は現状止むをえないが。。。
2)所要送信帯域幅の1.5kHz以下に狭めた運用は平均電力20Wで運用してもピーク電力は74Wに達する。大半の局は50Wの移動局免許であることを考えるとこれは指定事項の違反となり電波法上もっとも重い罰則の対象となり得るために自己責任でやって頂きたい。
3)送信帯域幅3kHzの実測値4.0dBはAudacityによる10秒観測値のPARP4.5dB(=6dB-1.5dB)とよく一致している。また送信帯域幅2.5kHzの実測値4.3dBはDavidの4.5dBぐらいともよく一致している。
4)TS-570のバー表示の電力計でも10秒ほど見ていると瞬間大きくなることでRADEのピーク値は同様に確認できると思われる。各局で追試・確認は可能で特にピークと平均が同時に測定できるパワー計をお持ちの方の追試と開示をお願いしたい。
5)RADE2 でRADE1の改良を含めて目標の<0.8dBが実現できることを期待する。
以上
コメント
コメントを投稿